キャプテン

 作者

ちばあきお

キャプテン 1 (集英社文庫―コミック版)
 出版社

集英社

 あらすじ

中学野球の名門チームに所属していた主人公は転校することになり、転校先でも野球部に入る。ほどなくしてキャプテンに抜擢され元名門校の選手として期待されるが、実は前の学校では補欠だった。それでも期待に応えるため、努力する日々を送る。


「挫けそうな時や怠けそうな時、自分もがんばらなければと思わせてくれる」

野球をテーマにした作品といえば「巨人の星」や「タッチ」などが誰もが知るところではあるが、 この「キャプテン」はそれらとは一線を画す名作である。

時代で言えば熱血スポーツ根性漫画がうける時の作品であり、この作品も同様にキャプテンに抜擢された主人公の、 努力、努力、また努力を繰り返す典型的なスポ根漫画である。 ただそこに「おしん」のようなせつなさやみじめさはなく、 読んだ人に「自分もがんばらなければ」と思わせるものとなっている。

作者のちばあきおを語る時に欠かせないのが兄であるちばてつやだ。 ちばてつやの代表作は「あしたのジョー」や「あした天気になあれ」など。 それぞれの有名なセリフである「立つんだジョー」や「チャーシューメーン(またはそのパロディ)」は知らない人はいないほどである。 そのような代表作を生み出したちばてつやでさえ、「弟(あきお)の方が才能がある」と語っている。 日本の漫画界において手塚治虫など天才と呼ばれる人は何人かいるが、ちばあきおもその一人だ。

まじめで努力家の主人公は対戦校を見学し、「このままでは勝てない」と思い、 過酷な練習を部員に課すことになる。 それはあくまで勝ちたい、勝って欲しいからなのだが、 あまりにも過酷である為、部員からは不満の声があがる。 いよいよキャプテンに直談判するべく、部員達が主人公宅を訪れると、 部員への練習のため自分自身の時間が取れないことから夜に練習をしている主人公の姿を見る事になる。 そして部員達は自分らが甘かったと認識し、闘志を奮い立たせるのである。 これがこの作品の本筋で全編通して基本となっている。

この作品で人気も高く欠かせないキャラクターは、同作品で三代目のキャプテンをする事になる「イガラシ」だ。 はっきりいってしまうと猿のような顔(むしろ猿をモデルにしているとしか思えない)で小柄で華奢な感じに見える。 その反面、あらゆるポジションを誰よりもこなすオールラウンドプレイヤーであり、 全巻を通して彼の存在は欠かせない。 そしてそんな猿がとてもカッコイイのだ。

珍しい事にこの作品にはレギュラーとして登場する女性キャラがいない。 つまり、どんな漫画でも必ずと言っていいほどあるラブストーリーは存在しない。 そういった意味ではとても男臭く、キャラクターは華やかでもないため男性向けの作品ではあるのだが、 多くの女性にも読んで欲しい。挫けそうな時や怠けそうな時、必ず「自分もがんばらなければ」と思わせてくれる作品だからだ。